浄蓮の滝(伊豆市)概要: 浄蓮の滝は狩野川の上流にかかる滝で伊豆随一の名瀑とされます。鉢窪山の噴火により流れ出した玄武岩溶岩流が固まり、長い年月何度と無く崩落浸蝕が繰り返され柱状節理が形成され、落差25m、幅7mの見事な浄蓮の滝が造りだされました。
古くから信仰の対象で、滝の付近には「浄蓮寺」という寺院が建立され、いつの頃から山崩れにより浄蓮寺が土に埋没すると、本堂に祀られた弁天像が土から這い上がり、自ら歩いて滝壺に身を沈め、以降、周辺では天変地異が起こらなくなったと伝えられています。
この故事からいつしか浄蓮の滝と呼ぶようになり、現在でも滝壺の底にある洞窟には弁財天像が祀られているそうです。
又、浄蓮の滝には女郎蜘蛛の伝説が伝わり、記載されているものには多少詳細が異なりますが、大まかな概要は、浄蓮の滝の滝壺には滝の主として女郎蜘蛛が住み着いていたそうです。
ある時、樵が誤って斧を滝壺に落としたところ、美しい女性が滝壺から斧を探し当て、樵に返してこうつぶやきました「今日あった事は決して誰に言ってもいけません。もし言ったならあなたの命はありません。」、樵は恐れしくなり決して人には話しませんでしたが、あるお酒の席で浄蓮の滝の女郎蜘蛛の話題となり、つい口を滑らし浄蓮の滝であった出来事を人前で話してしまいました。
樵は急に眠気に襲われその場でうずくまると二度と目を開けることがなかったそうです。
又、浄蓮の滝の周辺に自生している「ハイコモチシダ」は日本国内では九州南部と伊豆半島しか見ることの出来ない貴重な植物で静岡県指定天然記念物に指定されています。浄蓮の滝は平成2年に日本の滝百選に選定されています。
|